ステラグロウ
あらすじ
かつて、世界は歌の力によって繁栄していた。
やがて、その繁栄は争いを呼び、戦乱の世が始まった。
神は嘆き、人類から「歌」を奪った。
それから数千年の時が過ぎ、福音使徒を率いる滅びの魔女ヒルダの「歌」により、世界は結晶化の危機に見舞われていた。
失ったはずの「歌」の力を行使する5人の魔女。
立ち上がる王立騎士団。
魔女の呪いを解けるのは魔女の歌だけ。
レグナント王立騎士団と福音使徒の魔女争奪戦が今、はじまる。
感想
「イメージエポック創業10周年記念作品」と銘打たれ作成されたこの作品、開発元のイメージエポックが事実上倒産してしまったため本作が遺作となってしまいましたが、その出来は10周年記念作品にふさわしい素晴らしいものでした。
ストーリー
ストーリーの大筋自体は世界を滅ぼそうとする魔女とそれを防ごうとする騎士、という王道ものではありますが、その"王道"を突き詰めた作品が本作です。
ときに可笑しく、ときに熱く、ときに悲しく、そしてときに絶望的で、それでも最後はハッピーエンドに向けて突き進む。そういった王道の素晴らしさが全て詰め込まれているので、非常に気持ちよくプレイすることができます。
しかし、王道だから展開が読みやすいといったわけではなく、本作はそれにいくつか"ひねり"を加えているため、先がどうなるのかわからなくなることも多いです。
8章とか多くのプレイヤーが度肝を抜かれたと思います。
戦闘
戦闘システムは一般的なSRPG(シミュレーションRPG)で、高低差や地形効果があるマップで決められた数だけ味方ユニットを選び、相手ユニットと戦闘を繰り広げていきます。
本作ならではの要素として"魔女"が行使できる"歌魔法"というものがあります。魔女単独で行う"独唱"(ソロ)と、主人公との二人で行う"合奏"(アンサンブル)の2種があるのですが、後者の合奏はマップ全体に影響が及ぶため戦局を大きく左右できます。効果中はBGMが該当の歌に代わるため特別感満載です。
公式公開の合奏ムービー、なんかエロく感じるかもしれないが気のせいです。
新しい要素が加わるたびにゲーム内でチュートリアルが表示されるため、操作で困る心配はありません。
戦闘中は中断セーブができ、ロードしてもデータが消えないので試行錯誤がしやすいのも嬉しいところ。
また、一部バトルではミッションという特殊条件があり、これを達成することでステージクリア時に追加報酬を得ることができます。この条件が中々練られており、達成しようとすると結構苦戦する一種のハードモードのように機能しています。
普通にクリアしていて少し簡単だなと思ったら挑戦してみてはいかがでしょうか。
と、一見いいこと尽くしのようですが、敵の思考時間や、エフェクトが細かく入ったりするため、若干戦闘のテンポが悪いです。
先程の動画を見て気にならなければ大丈夫だとは思いますが。
キャラクター
女の子たちが無茶苦茶可愛いです。
女の子たちが無茶苦茶可愛いです(重要)。
このゲームには好感度システムがあり、自由時間にキャラクターと交流することで好感度を上げることができるのですが、男性陣も含めて全キャラクターが魅力的なためまったく作業感を感じません。
キャラクターの戦闘力も特徴などでうまく差別化されており、単純な劣化になっているキャラがいないのもうれしいところ。好感度をあげることで能力を強化することができるため、自分の好きなキャラクターでストーリーをクリアしていくことが出来ます。
特にストーリーでも大きな役割を果たす"魔女"にはその心の中に潜り、彼女たちが抱える悩みを解決することで新たな力を手に入れる"調律"イベントがあり、キャラクターに一層の深みを持たせています。
また、クリア後に好感度最大のキャラクター一人を選ぶとそのキャラクターとの一枚絵付の個別エンドが見ることができるのですが、そのどれもが凝っていて素晴らしい出来です。
割と恋愛とかエロい描写があるのにCEROに「セクシャル」とか「恋愛」が入ってないのはこのゲーム最大の謎です。
"魔女"にスポットライトが当たることも多いですが、NPCも含めて空気となるキャラがおらず、何かしらの見せ場が用意されてるのもこの作品の素晴らしいところです。
個人的には大正義幼馴染系ヒロインのリゼットが一番お気に入りです。これからプレイする人は是非彼女との個別エンドを見ることを目標に頑張っていただきたい。まじで最高だから。
かわいい
めっちゃかわいい
音楽
"歌"がテーマの作品だけあってフルコーラスの曲が10曲以上も入っており、手が込んでいます。なんと魔女たちの合奏の曲は全曲フルサイズで収録!!
また、歌だけでなくプロキオン・スタジオ作成のBGMもそれに負けない存在感を発揮しています。
作品の要所でかかるBGMの熱さはそこに至るストーリーも合わさって盛り上がること間違いなしです。
惜しむらくはサントラが出ていないことですね・・・開発元が倒産してるので望み薄なのが辛いところ・・・
欠点
さて、ここまで語ってきた本作ですが、実はひじょ~~~~~に惜しい点があります。
それは・・・
ギャラリー機能がないという点です。
魅力的な一枚絵や音楽が揃っているのにそれを見る手段がストーリーだけで、気軽に見返す手段がありません。
セーブデータが2つしかないので一枚絵の前でのセーブを残すといった手法も難しいので、その点はもどかしさを感じてしまいました。
まとめ
多少問題点がないわけではありませんが、それを補って余りある魅力的なストーリー、キャラクター、音楽で万人にお勧めできるゲームです。
王道ものが好きで3DSを持っているなら是非プレイしてみてください。