秋刀魚のゲームプレイ記

プレイしたゲームに対して色々語るブログ

ざくざくアクターズ

王国築くRPG、ざくざくアクターズの感想・紹介記事です。

ジャンル:仲間ざくざく型RPG 対応機種:PC(フリーゲーム)

ダウンロードページ:ざくざくアクターズの詳細情報 : Vector ソフトを探す!

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あらすじ

自分達の居る世界とは異なる世界から人・物を召喚する。そんな技術が当たり前のように普及している世界。

召喚士達はこの技術に浮かれ、用もないのに多くのモノを召喚してしまう。そうした結果、被召喚者は溢れ返ってしまった。一方的に呼び出されたにも関わらず、仕事もやるべきことも与えられない被召喚者たちは不満を抱え、最終的には暴徒と化してしまう。

結果的に召喚士らによって暴徒はひとまず鎮圧されたが、居場所を失った彼らのことを、いつしか人々は「ハグレ」と呼ぶようになり、軋轢が生まれてしまった。

そんな中、放浪を続けていた二人の少女がハグレが住みやすい王国を作ることを決心する。

 

感想

RPGツクールで作られたフリーゲームである本作ですが、「よく練られた難易度バランス」、「豊富なやり込み要素」、「心揺さぶるストーリー」、「魅力あるキャラクター」、「最高のBGM」といった素晴らしい要素がてんこ盛りで商業作品にも負けない出来の傑作RPGでした。

難易度

この作品はターン制RPGなのですが、他の作品と一風変わったシステムとして「8人パーティー制」というものが存在します。

このシステムは8人のパーティーを前衛4人、後衛4人で組み、任意のタイミングで前衛、後衛を入れ替えて戦闘を有利に運ぶことができるというものです。

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  ここの"入れ替え"の項目を選ぶと・・・

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  前衛と後衛の任意のキャラを入れ替えられる

この行動は前衛が全滅しない限り行え、デメリットも存在しません。(前衛が全滅するとGAME OVER)。

よって、プレイヤーは状況に応じて臨機応変に前衛を入れ替えながら戦闘を展開していくことになります。

この作品の素晴らしいところは、一見プレイヤーが圧倒的に有利に見えるこのシステムを用いながら、高い戦術性を発揮できるように調整されたゲームバランスです。

このゲームでは戦闘中に打てる全体回復スキルにはTPという必殺技ゲージを消費する必要があり、気軽に打つことが出来なくなっています。

そのため、プレイヤーはある程度消耗したキャラクターは後衛に下げ、出来るだけ前衛にHPが安全圏のキャラを置き、隙を見てHPが危険域のキャラクターの回復をするといったパーティー全体のHP管理が重要になります。

慣れてくると倒れた味方をゾンビのようにガンガン復活させることでとてもしぶとい戦いが繰り広げられるようになり、激しい敵の攻撃もかいくぐれるようになります。

そしてこのゲームのボスでは特定の溜めモーションや一定のターン周期毎に強力な攻撃をしてくるものが多いのですが、その威力が非常に高いです。まともに受けると壊滅は必至。

それではどうやってそれを凌ぐのか?ここでもパーティーの入れ替えが重要になってきます。

このゲームの登場人物たちはキャラクターごとに属性や弱体に対する耐性が異なっているのですが、この耐性が非常に強力で、ダメージをほとんど抑えてくれる超耐性や弱体状態を受けなくする無効耐性すらも多くのキャラが保有しています。

これらのキャラの耐性をパズルのように組み合わせ、相手の強力な攻撃に対して上手く入れ替えていくことで相手の攻撃をいなし、戦いを有利に進めることが出来るようになっています。

ダンジョンやボスキャラには攻略推奨レベルが設定されており、挑むときの大まかな目安とすることができます。どうしても勝てない場合は推奨レベル以上にレベリングすることでゴリ押し突破も可能です。

逆に推奨レベル以下でクリアした場合は攻略時に貰える経験値にボーナスを得ることができ、達成感もひとしおです。

歯ごたえのある戦闘が楽しみたい場合は推奨レベルよりも5~10ぐらい低い状態がおススメです。戦略がきっちりしていれば推奨レベルより20近く下回っててもなんとか勝てたりもします。

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本筋となるストーリーはそこまで高い難易度ではありませんが(推奨レベルよりも低ければその限りではない)、腕試しの場所にあたる"次元の塔"やクリア後ダンジョンである"魔王タワー"には一筋縄ではいかない強力なボスが多数存在します。

さらにそれらのボスよりも遥かに強力な"超強敵"という存在も・・・

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しかし、これらのボスも、前述した耐性パズルやパーティー入れ替えの活用がうまくはまれば非常に低いレベルでもクリアすることが出来ます。腕に自信があればぜひ挑戦してみてください。

やり込み

あらすじを読めば分かる通り、このゲームの主人公の目的は「王国をつくること」となっています。

それを表すシステムとして"王国会議"というものがあります。これは文字通り主人公たちの国が現状どうなっているのかという活動報告となっており、これでプレイヤーは王国の現状や次にどこに行けばいいのかが把握できるようになっています。

そしてその王国会議の中に"仲間提案"というイベントが存在します。これは仲間たちが主人公に対して「王国にこんな施設、物品があったらいいんじゃないか?」という提案してくれるイベントです。

この提案を受理することで王国が発展していきます。それと同時に貴重な消費アイテムの入手や金策、キャラクターの能力上昇といったプレイヤーに有利な効果も発揮されることがあります。

建てた施設はフィールドマップで確認することができるので、王国の発展具合が自分の目で分かるのもうれしい点。

そしてこのゲームには"アイテム図鑑"といものが存在します。文字通りこのゲームで手に入る全アイテムとそれに対する一言コメントがまとめられる図鑑なのですが、このゲームに出てくるアイテムは本当に膨大のため、よほどこだわりを持たないのであればコンプには手を出さないのが無難です。

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個性豊かな登場人物たち

このページの最初の画像はこのゲームのタイトル画面なのですが、「あれ、なんか画面が寂しくない?」と思った人もいるかもしれません。

実はこのゲーム、パーティーに仲間が加わるにつれてタイトル画面にキャラクターが増え、画面がにぎやかになっていくという仕様になっているのです。

最初は二人きりの王国が最終的に何人の仲間たちが集まるのか、ぜひ確かめてみてください。少なくとも20人以上は出ますよ。

他のゲームとの大きな違いとしてこのゲームの仲間は"国民"が殆どです。各キャラクターが"王国"に対してどのようなスタンスなのかを気にしてみるとより楽しめると思います。

仲間が多いと生じやすい使用率のバラつきによるレベル差問題も、"仲間提案"で主人公に合わせる形で大量の経験値を獲得できる施設を建設できるため、心配せずにすみます。

また各キャラクターごとにきっちりとスキル傾向がばらけており、活躍の場が用意されているため、いわゆる"不遇キャラ"はほぼいません。ドーピングアイテムでステータスブーストも行えるので苦手分野へのフォローも行えます。(全能力値99999までブースト可能)

しかもキャラの専用スキルを使うと専用アニメーションが流れる気合の入れようです。主要キャラクターのイラストを作者である"はむすた"氏自身が書いているからこそできる芸当ですね。

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  主人公であるデーリッチ、前衛完全蘇生スキルの"ゲートオブパンドラ"が強力

魅力的なストーリー

このゲームを作っているのは"はむすた"氏という人物なのですが、知っているでしょうか?東方創想話での「楽園の素敵な巫女に桜咲く」や「小悪魔RPG」、同じフリーRPGの「らんだむダンジョン」の作者と聞けば知っている人もいるかもしれません。

この作者さんは"笑いあり、涙あり"という展開が持ち味なのですが、本作でもそれがいかんなく発揮されています。

"ハグレ"という社会的地位の低い人物が主軸となるという点から、暗くなりそうなイメージを抱きがちですが、基本的には本作はほのぼのとしたギャグ展開が主軸となっています。一生懸命日々を楽しく過ごそうとする彼女らの姿は心を温かくしてくれること間違いなしです。

しかし、ただほのぼのとしたシーンだけで構成されているわけではありません。時には"ハグレ"の現実をプレイヤーに教えるかのようなハードな展開や、それを懸命に乗り越えようとする涙腺を刺激する展開などを叩き込んできます。

そういったメリハリの利いたストーリー構成と個性豊かなキャラクターの軽妙な会話によって明るく、非常に壮大な物語となっています。

ネタバレのため詳しくは語れませんがこのゲームの魅力は"ラスボス"に詰まっています。一人の少女が"国王"になるまでの道を是非共に歩んでみてください。

BGM

"煉獄庭園"などのフリー楽曲を多く使っているのですが非常に曲選択のセンスが良く、プレイヤーの心情に寄り添うようなものが選ばれており、テンションが上がります。

そして中盤からは"mozell"氏という作曲家の方の楽曲が多く使われています。彼の民族系の楽曲が非常に作品の雰囲気にマッチしており、プレイへの没入感を高めてくれます。「オリエンタルピアノアタック」や「夏休みの思い出」など自然と体がリズムをとってしまうような爽快度の高い楽曲が目白押しです。

とくに、ある超強敵のために書き下ろされた2つの曲はやはり書き下ろしだけあってボスの雰囲気にばっちりハマっていて最高です。どちらも何度も全滅するような強敵であるため、印象に残ること間違いなしです。

まとめ

その素晴らしい出来から根強い人気を誇る本作。RPG好きなら是非プレイしてほしい作品です。

 

追記

そしてついに!水着イベントが追加されました!!!

(実装時期が冬なのは突っ込んではならぬ)

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こちらは開放がメインストーリークリア後のイベント終了後となるため、初めからのプレイだと先の話になってしまいますが、新たなシナリオや新たなBGM、そして何よりキャラの水着絵!と大ボリュームのアップデートとなっています。かなちゃんありがとう!!

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ローズマリーの笑顔が眩しすぎる。最高。