すべてが暗黒に覆われていくノベルゲーム、「真昼の暗黒」の感想記事です。
ジャンル:サイコサスペンスノベルゲーム 対応機種:PC(フリーゲーム) R-15指定
公式ページ:http://summertimeinblue.net/mahiru/#chapter
あらすじ
2028年・多摩ニュータウン。
あの頃はそれなりに楽しかったし、平和に暮らしていた、と思う。
だけど、お姉ちゃんが消えてから、全ての歯車が狂いだした。
お父さんも、お母さんもどっか行った。大事な人はみんないなくなっちゃった。
その代わりに、先生が現れた。とてもやさしくて温和な人なんだ。
私のこと、殺人犯から守ってくれるかな?
仲良くできるかな?
私のこと、見捨てないでいてくれる?
感想
まず初めに、今作は残虐、性的な表現が含まれており、それが原因で15歳以下のプレイを控える旨が伝えられています。そのため、そのような表現が苦手な人はプレイするのはおススメできません。
個人的にもその手の描写は結構容赦ないと感じたので一応。(特に性的表現がきつめ)
さて、舞台は2028年のニュータウン、そこの古い団地に住まう主人公「昼間ミサ」はその姉の「昼間うたげ」と共に二人暮らしをしている。
そんなある日、姉のうたげが大量の血痕を残して失踪してしまう。
突然の出来事に動揺しているミサの前に事件の担当カウンセラー「暮方計」が現れる。
果たして彼女は姉を連れ去った犯人を見つけ出すことはできるのか?
といった物語となっています。
作品自体はオーソドックスなノベルゲームです。
この作品の最も大きなポイントは「話を進めていくにしたがって何も分からなくなっていく」ことだと思います。
もちろん、作中で真実は分かります。結末も描かれる。
けれども、「印象」も「立場」も「思想」も何もかもが暗黒に覆われていくんです。下手したら「真実」ですら。
これはプレイ時とても衝撃を受けました。分かったはずなのに分からない。あらゆることがあやふやになっていく。
これは非常に恐ろしいことではあるのですが、同時に物語をもっと読み進めたいという気分にさせる魔力を秘めています。
序盤こそ控えめですが、中盤に起こる「ある展開」からそれが一気に解放され、エグみが増すのと同時に面白さが加速度的に増していきます。
ただ、作中のほとんどが暗鬱とした雰囲気で進んでいくため、その手の雰囲気を苦手とする方はいるかもしれません。救いを期待するような作品でもありません。
けれども、この作品には複数のエンディングがあるのですが、個人的にはどのエンディングもどこか開放感があり、読了感は不思議と爽やかなものでした。
決して万人向けではありませんが、サスペンスなどが好きな人ならプレイしてみてほしい作品です。
さて、この作品はノベルゲームですが、何故ノベルゲームなのでしょうか?そこには確かな理由が存在します。
人は究極的には自分一人の視点しか持つことができません。あらゆる批評や感想はその視点に影響されたものになります。この感想記事も例外ではありません。
あなたが見たら、この作品は全く違う「真実」を見せるかもしれません。